事件ファイル No.055 たきぎ工場快挙達成!事件!?
発行元 たきぎ工場 企画広報編集室   発行日 1998.10.20
この作品はノンフィクションであり、登場する団体人物等は、実際にバカな事をやっています


斉藤・寒河江ペア優勝!
発熱体飯田 堂々の3位入賞!

たきぎ工場フルーツカップに参戦!

 大会当日の10月11日の朝4時、赤城高原SAにフルーツカップ参加選手が集結した。
タイムレースのシングル艇にエントリーしたのが用心棒武藤、発熱体飯田、ドクター岡部の3名。
タンデム艇に、笑顔の斉藤、広報編集人寒河江が出艇する事になっている。
以上5名のたきぎ工場選抜選手は、意気揚々と関越道自動車道を北上し、三条燕インターで高速を下り、霧で煙る川沿いの道を下流に向け目的地の小須戸町を目指す。
案内の地図の通りにスタート地点のすぐ上流にある集合場所に6時過ぎに到着した。
しかし、辺りを見渡すがそれらしき雰囲気の物は何も見あたらない??
「本当にここで良いの?」と、武藤さんがすぐ脇に流れる信濃川の様子を見に行く。
「看板とか垂れ幕とかは前日に用意してあるんじゃないの?」と、今年7月に参加した「かながわゆめ国体」と比較して飯田君が不安げに言った。
「受付開始は8時30分からだから……」と、僕は途中のコンビニで買ったオニギリを頬張りながら案内を取り出して確認する。

'98信濃川フルーツカップ カヌーフェスティバル

1.主  催 新潟県カヌー協会
2.後  援 白根市、楽しもって秋まつり実行委員会
3.期  日 平成10年10月11日(日)
4.集合場所 新潟県小須戸町運動公園
5.種  目 A タイムレース・B オリエンテーリング
6.競技内容 コースは小須戸橋をスタートして上流に
  向かって漕ぎ上がり、折り返して小須戸橋の下流
  2.5qの臼井橋がゴールとなる
7.参 加 料 1人艇 2,000円・2人艇 3,000円
8.参 加 賞 地場産フルーツ
9.表   彰 各種目3位まで表彰します
10.日  程 受  付    8:30〜9:00
        ミーティング  9:00
        開 会 式    10:00
        スタート    10:30
         閉 会 式    13:30

「集合場所は小須戸町運動公園、すぐ下流に見える橋が小須戸橋だし、集合場所に間違いはないし受付は8時半からだ」と、案内と地図を見ながら僕が答える。
「それじゃ、まだ時間があるから、ちょっとビールでも飲んじゃう?」と、時間を持て余した飯田君が言った。
「ダメダメ、8時半から受付、9時にミーティングその後9時半からドーピング検査あり、アルコールを飲んでいるか調べるって書いてある」と、僕はビールはレース後の楽しみに取っておこうとみんなに言った。
テーブルを広げイスに座り、各自コンビニで買ってきたサンドイッチやオニギリの朝食を取る。
先ほどまで立ちこめていた霧も晴れ、徐々に陽が昇り始めると、今日は気温の上昇が早くも予想される天気になりそうだ。

のんびり始まる草レース

「車はあちらの駐車場に移動して下さい!」と8時過ぎにようやく大会の関係者らしき人がやってきた。
受付開始の8時半を過ぎると、カヤックを積んだ車が次々とやってきて、大会らしくだんだんと賑やかになってきた。
駐車場の一角に止められたワンボックスカーが、大会本部に早変わりして、受付が行われゼッケンと参加者名簿、それに参加賞が手渡される。
参加賞はフルーツカップとその名にふさわしく、ぶどう、ナシ、オクラに新潟産のコシヒカリ2sとローカル色あふれる品々である。
たきぎ工場のメンバーにゼッケンと参加賞を配りみんなで参加者名簿を見つめる。
「あれ?タンデム艇は2組だ」と、参加者名簿を見て僕が叫んだ!!
と、言うのも去年は艇のクラスをかなり細かく分けて開催した結果、出艇数が少なくレースが成立しないクラスがたくさんあったと、ESSAクラブの高田さんから聞いていたのだ。
タイムレースの参加艇はシングルが14艇、タンデム艇が何と2艇だけである。
「うーん、タンデム艇のエントリーは2組か、これじゃレースは成立しないのかな?」と、仲間と話をしているところに、新潟の銘酒「越乃.寒梅」を2本も手みやげに持って高田さんがやって来た更にお土産が増え、これで参加費は完全に元が取れたようだ。
参加者の中には顔見知りのESSAクラブの人や昨年粟島ツアーで一緒になった人達やK−フィールドの塚野さんまで顔を見せた。

大会説明!レース成立!入賞確実!

「ミーティングを始めます」秋空のもとハンドマイクの音が鳴り響き、午前9時レース前の競技説明が始まった。
今年は一つ下流の白根市で「楽しもってまつり」が開催されていて、カヌー協会の方へゴール地点を祭りのイベント会場にして欲しいとの要請があったようだ。
去年はダウンリバーレースだったが、今年はゴール地点をイベント会場にする為に、スタートは上流に向かって漕ぎ上がり、折り返して川を下りゴールを目指す8q程のレースとなるらしい。
ただし、昨日降った雨で増水して水量もあり流速も上がっているとの説明もあった。
一通りの説明も終わり、何か質問はありませんかの問いかけに、高田さんが手を挙げた。
「折り返し地点の旋回方向を右か左かに決めて下さい、それとゴールラインの位置は臼井橋のどの位置ですか」と、高田さんが確認を求めた。
去年はESSAクラブのメンバーがトップでゴールしたつもりが、しかし橋の下流数10mが本当のゴールで、気を抜いたところを後続の選手に抜かれてしまったと、高田さんからそんな話も聞いていたのだった。
「それから、あともうひとつ、レースは出艇数に関係になく賞状は出るんですか?」と、再び高田さんが手を挙げた。
「はい、全部表彰します!」と、大会本部の意外な力強い発言!!
「やったー!よし、入賞だ!悪くても準優勝だ」と、思わず叫んでしまう!!
「良かったね〜、絶対入賞だね!遠くから来たかいがあったね!」と、高田さんが笑顔で言った。
「ところで寒河江さん、発熱体の何とかさんて来てるの?」と、高田さんが興味ありげに言った。
「彼が発熱体飯田君です!」と、紹介する。
「矢木沢の島田さんのネロに勝ったんだってね!琵琶湖マラソンの時は結構ネロがいて、負けたんだ!ひと漕ぎのスピードが全然違うんだ!」と、高田さんは島田さんの敵討ちだと言って、やる気満々である。
「飯田君!高田さんに着いて行けば入賞間違いなしだ!」と、僕は飯田君に渇を入れる。
大会ミーティングが終わると、ドライバーはゴール地点のイベント会場へ車を移動させ、カヌー協会の人達がピストン輸送でドライバーを再びスタート地点まで搬送してくれた。

タンデム艇は2組!優勝を掛け!一騎打ちだ!

 開会式も終わり、出艇場所から参加者が続々と信濃川に漕ぎ出しスタートの小須戸橋に向かう。
タイムレースとオリエンテーリングとも一斉のスタートとなるので橋の下では良い位置をキープしようと流れに向かって前に出たり下がったりと、スタートラインになかなか艇が定まらない。
回りを見渡すがオリエンテーリングにもタンデム艇がエントリーしているので、タイムレースに出るもう一組がどのカヤックなのかわからないままスタートの合図!!
小須戸橋に水しぶきが上がり、各艇一斉に上流の折り返し地点を目指す!
「スタートダッシュだ!」と、タンデムのペアを組む斉藤さんと打ち合わせていた通りに、川の中央から飛び出す。
トップスピードに乗り回りを見渡すと、左側の方からレーシングが快漕、その後を高田さんが続く右側から飛び出したのはチヌークにスラローム艇それに続き発熱体飯田が追漕している。
川の流れは思ったよりもきつく、トップスピードの低いボリュームのあるポイント5は、徐々にスリムなシングル艇に遅れを取りながらもタンデム艇トップの位置をキープしているようだ。 川は上流に向け左右に蛇行を続け、先を走る艇が確認しずらくなってきている。
ふと気付くと左舷後方からレーシング艇が急接近ポイント5を抜き去っていく、それにピタリと続いて、新たに「たきぎ工場」のメンバーとなったドクター岡部がベニヤ職人渋沢から譲り受けたというアークティックレイダーで僕達の前に出た。
「後ろに付くぞ!」と、大声で怒鳴り、前を漕ぐ笑顔の斉藤のピッチが上がる。
前を行っていたチヌークが脱落、ズルズルと後していくなか、しばらくの間はレーシング艇、アークティックレイダー、ポイント5の3艇の併漕が続く。
しばらくすると、前方からトップのレーシング艇が折り返して来た。その後はかなり水をあけられてスラローム艇、少し遅れてその後に2艇のシーカヤックが見える。
何と前を行くのが発熱体飯田!その後ろをピタリと高田さんのアルラック1.9が追漕している。
「後ろに高田さんがいるぞ!抜かれるな!」と、すれ違いざまに大声で叫ぶ。
その後ろにはESSAクラブの高橋さんが前を追って川を下っていく。
折り返しを目前にして、ドクター岡部がスパートをかけてレーシング艇の前に出た!!
それを見て、ここぞとばかりに僕たちも後を追ってレーシング艇の前に出て折り返す。
次は下りだと思っていたら、先ほどまでは気にならなかったが、今度は向かい風が行く手を阻む。
ボリュームのあるタンデム艇は風の影響をまともに受け、徐々に前を行くドクター岡部から遅れを取り始める。
「折り返しはすぐそこだ!がんばれ!」と、漕ぎ上がりに手こずる後続の集団に用心棒武藤を発見して檄を飛ばしすれ違う。
まだ手に入れたばかりでアークティックレイダー をうまく乗りこなせないのか、先ほどのスパートがたたったのか、前を行くドクター岡部が急にペースダウンをしてきた。
「後ろに付くぞ」と、再びピッチを上げてレイダーの後ろに付き呼吸を整え、追漕を始める。
スタート地点の小須戸橋が見えて来たところで、「どうだ!参ったか!」と、ドクター岡部のレイダーの前に出て一気に振り切る。
前方には、かなり水を開けられて小さくなった艇が見え隠れしている。
小須戸橋を通過して残り2.5q その後順位の変動はなく、息も絶えだに臼井橋にゴール!!
「楽しもってまつり」のイベント会場となっているゴールの臼井橋では、大勢の人が手を振り拍手で迎えられ、何と消防団の人達が手際よく上陸を手伝ってくれた。
「カヌーの人!お弁当をどうぞ!向こうには豚汁もあります!これは参加賞です!」と、息を付く間もなく弁当と鉢植えの花も手渡される。
「どうだった」と、飯田君を見つけ結果を聞く。
「うん、3位かな?最後に高田さんに負けた」と悔しげに答える発熱体飯田。
「まずはビール!ビール!」と、健闘をたたえ合う「たきぎ工場」のメンバー達!!
のんびりと昼食を取り、レース結果発表の閉会式を待つ間、イベント会場ではビンゴゲームが始まり、飛び入りで参加をする。
笑顔の斉藤とドクター岡部の両名が見事ビンゴを完成させ豪華商品の?BOXティッシュをゲットした。

表彰状を貰うのは卒業証書以来か?

 集計に手間取ったのか予定より少し遅れて閉会式の準備が出来たようで、レース結果も張り出され人だかりが出来る。
シングル艇では高田さんと最後までデットヒートを繰り広げた発熱体飯田が、惜しくも10秒差!で堂々の3位入賞!!!
ドクター岡部が8位と大健闘!たきぎ工場の新メンバーとして華々しいデビューを飾った。
用心棒武藤も最後に順位を上げ9位でゴールと意地をみせた。
タンデム艇では、笑顔の斉藤・広報編集人寒河江ペアが2位を大きく離し念願の初優勝を飾った。
いよいよ閉会式が始まり、シングル艇の表彰台に赤堀さん高田さんに続き発熱体飯田が拍手で迎えられて登場!
続いてタンデム艇では出艇数が少ないながらも初優勝を成し遂げた笑顔の斉藤・広報編集人寒河江が誇らしげにクラブメンバーの構えるカメラの前で表彰状片手に胸を張っていた。
後で解ったことだが、何と!もう一組のタンデム艇はカナディアンでありました!ジャンジャン!
「でも、優勝は優勝だ!」と、喜ぶ斉藤・寒河江ペアでありました。

信濃川フルーツカップ レース結果

 タイムレース シングル艇
1位 赤堀  文則  (レーシング艇)  52分23秒
2位 高田  佳彦(アルラック1.9) 1時間00分29秒
3位 飯田  昌明(テルクワスポーツ) 1時間00分39秒
8位 岡部裕志郎(アークティックレイダー) 1時間07分04秒
9位 武藤  俊一(ホライゾン) 1時間08分18秒

 タイムレース タンデム艇
1位 斉藤厚・寒河江良隆ペア(ポイント5) 1時間04分38秒
2位 石田 修・島田 功ペア(カナディアン) 1時間25分36秒

各上位入賞者に賞状が手渡され、その後に…… 豪華副賞として「・・・・」などと期待していたら表彰状だけだった。
でも、賞状を貰うなんて、卒業証書以来だと、みんなで大笑いした。
閉会式が終わった後は、新潟県カヌー協会が用意してくれたアウトドアグッツやウェアーが貰えるジャンケン大会が行われた。
塚野さん相手に参加者全員が、ジャンケンをして最後まで勝ち残った人に次々とプレゼントが手渡されていく、最後に大いに盛り上がりをみせた。
ここでは、用心棒武藤がソックス、発熱体飯田がパタゴニアのショートパンツをゲット!!
「これからは、もっと参加者が増えて、100艇200艇になるような大きな大会にしたいので、また来年も遊びに来て下さい」と、最後に塚野さんから挨拶があり、'98 信濃川フルーツカップは参加者みんな大満足で幕を閉じたのでありました。

『編集後記』

 今回フルーツカップに参加させて頂き、楽しく遊ばせていただき、ありがとうございました。
楽しもってまつり実行委員会のみなさんや新潟県カヌー協会の方々、K−フィールドの塚野さんや高田さんを始めとするESSAクラブのみなさん大変お世話になりました。
また来年も是非参加したいと思います。   (たきぎ工場 企画広報編集室 寒河江)


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